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我々の購買情報はもっと価値があるのかもしれない

CCSアドベントカレンダー

 この記事はCCSアドベントカレンダー2018の7日目の記事です.

 6日目は四季さん東大生正解率97%の問題に挑むです.
 (数学が出来ないのでわかりませんが)曲解に次ぐ曲解で論理的に間違っていないのに出題側の意図からすると間違っている解を出すチャレンジなのではないかな,と思います(多分).

 8日目は抹茶さん【VSCode】デバッグ機能を使ってC/C++のデバッグをするです.
 なんかすごいことしてる記事です.情報に関する知識の圧倒的差により凄さが理解できません.

 2018†裏†14日目も寄稿予定です.

0.そもそもポイントとは

 念のためここでいうポイントが何を指すのかを確認します.

ポイントサービスとは

(和製語point service)商品やサービスの購買額に応じて点数を付け,その累積点数によって景品と交換したり値引きしたりするサービス.

――広辞苑第六版より

 身近な例だと,Tポイントやヨドバシカメラのポイントなどが挙げられます.
 このシステムを私達消費者は時に節約に利用しています.
 材質は紙カードからプラスチックカード,バーチャルカード.読み込み方法にもバーコードや磁気テープ,アプリまで多種多様の体裁があります.流通系を中心にポイントカードとクレジットカードを兼ねている決済方法の確認がこの上なく面倒なタイプも広く普及しています.
 余りにも社会にポイント制度が溢れているので,生まれてからずっとポイント制度というものに触れたことがない人はあまりいないのではないでしょうか.

1.ポイントシステム導入のメリット(企業編)

 なぜ,企業はわざわざ自分の利潤を削って消費者に金銭を与えるようなことをしているのでしょうか.

 勿論営利企業なのでボランティアではなく,ポイントを導入した方が利益になると考えたからこその戦略であります.
 その理由の1つは囲い込み,もう1つには顧客満足度の上昇,または顧客の購買情報の収集と言われています.

 囲い込みは消費者を同業他社に行かせないようにする対策です.
 ポイント制度以外の条件は全く同一の店舗があったなら,消費者はポイントを付く方をより『お得である』と考えてそちらの店舗を選ぶだろうという考えです.
 お客様はポイントを貯めるため,ポイントを使うために来店されるので自社への来店の回数が増えてより儲かり,競争相手は自社に顧客を取られて競争力を失っていくおいしい話であるということです.
 こういう目的があるということを念頭に置くと利用できるお店が多いポイントはあまり還元率が良くない(e.g.Tポイント)理由も大きな囲い込み効果が見込めないのにポイント付与用の経費を計上できるか,という話になることがわかります.

 ポイントサービスの実施で上昇する顧客満足度は大体「いいものを安く買えるか」という基準で評価されます.
 ポイントを利用すると会計時に支払う金額が少し減ります.これを目当てに顧客はポイントを貯めるので基本的といえば基本的ですが,これが分かりやすい顧客サービスの例です.
 また,企業から大きな販促金が入った時にそれを原資にして該当商品の購入者に大量のボーナスポイントを付与するという手を使えば,下がった実質購入価格をセールスポイントに顧客に普段は買わないような高い商品を買わせることだってできます(ポイントが失効したらもちろん購入価格は元の高い値段のままです).これは「ヒトの金でやる顧客サービス」なのでお店の懐は痛みません.

 購買情報の収集というのは,そのままどのような属性の人がどの商品を好むのかという情報を集めることです.
 この辺りは子育て世代の顧客が多いから大容量のまとめ買い用の商品が売れるだろう.いやいやこの店舗は単身世帯が多いからお弁当や総菜の充実を図ろう.お年寄りが多い地域の店舗では少し高くても健康にいいものを多く扱おう.などなど.
 このような販売計画を立てられるのは,商品を販売した時の情報が登録された情報(年齢/性別/住所など)と結び付けられて分析されているからです.
 もっとわかりやすい例だと最近某大手総合スーパーが導入した顧客ごとに異なる商品をピックアップして割引するDM(ダイレクトメール)を送る戦略です.
 あれはポイントカードユーザーの中で特に売り上げの多い上位数十%の顧客が良く買う品物に使える割引券を送るもので,この割引を目当てに顧客の再来店を促します.
 個人的にはそんな何もしなくても再来店するようなヘビーユーザーの再来店を促しても効果は微々たるものだろうと思いますが,続いちゃっているからには一定の効果はあるのだと思います.レジ打ちが面倒です.セルフレジで使えないし.

2.購買情報の価値

 企業が購買情報の収集をマーケティングに役立てる(特にデジタルでポイントを管理する大手に多い)という視点で言えば,私たちは微々たるポイントと引き換えに企業に多大なる利益を与えていると言えます.
 企業はより需要ある商品を仕入れたりできるようになるのですから.もしかしたら統計的におたくの商品が良く売れるからもう少し卸してほしい,この商品は売れにくいから数を捌きたいなら販促に力を入れて,などといったメーカーとの交渉にデータが使われるのかもしれません(あくまで想像です).
 ポイントサービスという概念の誕生時と現在では企業の性格も情勢も違う(そもそも会社自体がどこかに買収されていたり,持ち株会社合法化でほげほげHLDS.,ltdとかも増えてきましたし)ので単純には比べられようがないのですが,以前よりはノウハウ構築にも詳細なデータを使ってより顧客にお金を使わせる戦略を立てるようになったのではないでしょうか.それが数百円に1円という値段で買われているというのは,企業に与える利潤に比べれば非常に小さいのではないでしょうか.